この記事を書いた人

現在の年齢:29歳
当時の年齢:25歳
学生時代に片想いすることはあっても、大学に上がるまでこれといった恋愛経験のない人間でした。
特別目立つタイプでも、美人なわけでもありませんでした。
そのため、当然テレビドラマで見るような青春とはかけ離れた学生時代を過ごしていました。
友人もこれといって多くなく、人付き合いも得意ではありませんでした。
家でゆっくりしている時間が一番心地良いと感じるような、そんな人間です。
だからこそ、自分が浮気なんてことをされる日が来ることも、そのような人間と出会うことも、思っていませんでした。
そのような人間を選んでしまうことも、全く想像していなかったのです。
元夫との出会い
元夫とは、大学生時代にとあるサークルで出会いました。
男女ともに人数が多く、幅広い学年が所属するサークルで、年齢が近かった私と元夫はすぐに仲良くなりました。
次第に2人でご飯に行くような仲になり、連絡先も交換して、サークル以外でも頻繁に会うようになりました。
それから1か月ほど経ったある日、食事に行った時のこと。
元夫から告白をされました。
このときはまだ「好き」という気持ちはなかったものの、決して嫌いではなかったため、なんとなく付き合うことにしました。
元夫の強引な距離の詰め方に最初は私も驚きました。
ただ、これまで男性との付き合いがなく、恋愛経験は非常に乏しいものでした。
だからこの時点では、大学生としては普通なのだと考えていました。
私は他人の言葉や行動をそのまま信じてしまう、今にして思えば馬鹿みたいに感じるほど純粋な人間でした。
嘘をつくことや騙すことは許されない行為だと思っていました。
なので、そのような行動を平気で他人にできる人間が、まさか自分の周りにいるとは思っていませんでした。
このとき、恋に盲目だった私は、この後の展開がどうなるか考えもつきませんでした。
今考えれば違和感でしかないのですが、簡単に浮気男の沼に引きずりこまれてしまったのです。
交際、結婚、妊娠、出産と順調な生活
就職してからも交際は続き、23歳の時に結婚しました。
翌年には娘を授かり、夫婦としてだけではなく、親として、家族として、これまでとは少し異なる新しい生活が始まりました。
私は、娘を夫婦2人で育てたい気持ちが強かったので、時短勤務の仕事をしていました。
なるべく早く切り上げ、終わったらまっすぐ家に帰りました。
自身の身体に配慮しながらも、家事や育児は率先して行っていました。
元夫も、娘が生まれてからは仕事を早く済ませ、帰ると家事や育児を手伝ってくれました。
1年ほどそのような生活をしていました。
それが終わると、時短勤務は継続しながらも、昼間は保育所で預かってもらっていました。
元夫は仕事をしながら、家事・育児にも協力的で一生懸命やってくれていたと思います。
元夫への不満
ただ、1つだけ不満がありました。
結婚する前からもそうだったのですが、夫は強引で自己中心的なところがありました。
例えば、夫婦の給料は1つの口座にまとめて、それぞれお小遣い制にしていたのですが、元夫は
「接待で使うお金が高いから」
「私服勤務だから」
などの理由で、お小遣いは私の倍の金額でした。
「おまえは接待とかないから5000円で充分だろ」
「おまえは制服なんだから着まわせばいいだろ」
そして、必ず最後に
「俺はそういうわけにはいかないから」
と言っていました。
その他にも、なくした時や病気になった時に困る、ということもよく言っていました。
あとはお互いのスマホのパスワードを同じにするなど、勝手に沢山のルールを決められました。
その通りに従わないと不満を爆発させてきました。
例えば、しばらく無視をされたり、物を投げつけられたり、大声で怒鳴り上げたりするなどです。
そのようなあからさまな態度を取ってくるといった、子どもじみた行動が度々見られるようになりました。
ですが、結婚してから「ああだこうだ」と言い合っても仕方がありません。
いろいろな要求を受け入れてでも、ちゃんと家族で仲良く支え合っていくためには耐えないと…
そう思いながら、なんとか我慢をしていました。
元夫の異変
娘が3歳になると、私は時短勤務から通常勤務に変えました。
本当は時短勤務のまま子育てを優先したいところでしたが、夫婦ともに仕事を頑張らないと、どちらもそれほど給料の高い仕事ではありませんでした。
なので、保育所に預けながら頑張ろうと決めました。
するとある日、元夫が突然
「ジムに通う」
と言い出しました。
それにはさすがに反対して、口論となりました。
(ただでさえ私が時短になったばかりでお給料が減っていたのに、ジムに通うってどういうこと?)
(運動すること自体は確かに良いことだけど、そんなお金、どこにあるの?)
あまりにも自分勝手すぎて頭がついていきませんでした。
しかしこのときにはもう遅く、私にしたのは「相談」ではなく「事後報告」だったようでした。
ジムにはすでに入会し、ウェアやシューズも買って、さらにお義母さんにまで承諾を得ていました。
「母さんが良いって言ってるのに、おまえが口出すことじゃないだろ」
「俺は俺のお小遣いの中からジムに通うことにした」
と言うので、それなら私もお小遣いをもう少し増やしてほしい、私も少し自由な時間がほしい、と言いました。
また、家事や育児をする分担を少し減らしてほしい、とも伝えました。
しかし、そんな私の要求も虚しく、全て却下されました。
自分だけ好きにお金を使い、自分だけ好きに時間を使っているようにしか思えず、不満はどんどん募っていきました。
浮気現場
それから4ヵ月が過ぎた頃、学生時代にすごく仲良くしていた友人から電話がありました。
その友人は、私たち夫婦と同じ最寄駅に住んでおり、元夫と同じジムに通っていました。
元夫とは面識がありますが、それほど親しい間柄ではないため、ジムで会った時に「挨拶くらいの会話をする」といった程度です。
その友人とLINEをすることはよくあったのですが、電話がかかってくることは珍しかったので、どうしたのかと思いました。
電話に出てみると
「あんたの旦那が、別の女と一緒に歩いてる」
と言われました。
時間は17時。
私はまだ勤務時間中で、元夫は退勤後でジムに行っているはずの時間でした。
その友人は、清掃勤務で16時に仕事が終わるため、元夫と同じ時間帯にジムを利用しています。
よく顔を合わせているので、見間違いをすることはおそらくないかと思います。
「一緒にいる女、誰か分かる?」
会社の廊下の端まで行って、小声で尋ねると、友人は
「名前は知らないけど、同じ時間帯にジムでよく見る女」
「たぶん、うちらより年上」
「ジムで知っている人がいるかもしれないから、聞いてみる」
と言われました。
それから1時間後、また友人から電話がありました。
さっきよりも低い声で、こう言われました。
「Yさん(苗字)って言うらしい」
「今日は来てないし、あんたの旦那も来てない」
「で、うちから聞いたって言わないでほしいんだけど、Yさんはジムで彼氏ができたって周りの人に話してたらしいよ」
「その彼氏っていうのが、旦那のことじゃないと良いけど」
元夫に確認
その日の夜、遅くに帰って来た元夫にどこへ行っていたのかと聞くと、平然と
「ジム」
と答えました。
その時は近くに娘がいたので、それ以上は問い詰めませんでした。
しかし、元夫に対する不満が不信感へ変わり、怒りがピークに達しました。
証拠集め
深夜、寝ている元夫のスマホをチェックしてみました。
しかし、何かを感じ取ったのか、LINEのやり取りは全て削除されていて、浮気の証拠は見つかりませんでした。
ただ、相手の名前はあるのに、やり取りが一つもないことに対して、さらに怪しく感じました。
そこで、相手の女性に直接会って問い詰めることを決めました。
相手の連絡先は元夫の携帯から簡単に見つけ出すことができました。
しかし、いきなり私が電話をしても警戒して会ってくれないのではないかと考えました。
友人に相談
翌日、私は友人に電話をして、その女性と会えるよう、場をセッティングしてもらえないかお願いしました。
「イヤだよ〜」
「うち、話したことないし」
「つか、そもそもうちを巻き込まないでよ!」
「親切心で教えてあげたのに、なんでうちが恨まれる役をしないといけないんだよ」
散々拒んでいた友人でしたが、最終的には私を不憫に思ったのか
「Yさんの名前を教えてくれた人が共通の知り合いみたいだから、2人でいる時に誘ってみる」
「あんたは偶然を装って来てよ」
「うちと知り合いだとか、うちが絡んでることは絶対に言わないでよ!?」
と念を押しながら、渋々引き受けてくれました。
浮気相手と対面
セッティングの機会はすぐに訪れました。
2日後の夕方、友人から
「ジム帰りにコーヒーに行くことになった」
「20時にジムを出るけど、あくまで飲み会じゃなくただのティータイムだから、そんなに長い時間は引き留められないかも」
「あんたも20時にはジムの近くにいておいてね!」
と連絡があり、その日は定時で仕事を終えました。
20時過ぎに、ジムの近くで待っていると、友人が場所とYさんの服装や特徴をLINEで教えてくれました。
指定されたカフェに行くと、友人と同じテーブルに、私たちより少し年上に見える女性が2人座っていました。
友人からの情報に合う女性は、そのうちの1人。その人が元夫の浮気相手であると思いました。
私がそのテーブルに行くと友人は咄嗟に視線を外しました。
「あの、Yさんでしょうか?」
私が声をかけると、女性は驚き、不審そうな顔をして
「そうですが、どちら様ですか?」
と丁寧な口調で返して来ました。
「はじめまして」
「私は◯◯(元夫の名前)の妻です」
「お話があるので、少しの時間だけ席を移動してもらえますか?」
と切り出すと、すんなりと応じ、友人たちに
「もし、あれでしたら先に帰ってください」
と伝えていました。
もう1人の女性が心配そうな顔で
「大丈夫ですか?」
のようなことをYさんに言っていましたが、友人がその女性の袖を引っ張り、意味深に目配せをしていました。
友人たちと遠く離れた席に座った私は、Yさんに
「全て分かっています」
と伝えると、潔く浮気関係を認め、すぐに謝罪されました。
Yさんの中で、最初は危険と感じていながらも、元夫に会いたいという気持ちが抑えられなかったそうです。
そのため不倫覚悟で元夫と会うのを楽しんでいたそうですが、だんだんと罪悪感が高まってきたとのことです。
そのような中、元夫は
「また会いたい」
と言っていたようです。
ただ、彼女の方は、自分たちの関係がバレないように、周囲の目を気にして会っていることが申し訳なく思えてきたらしいのです。
私が想像していたよりも物腰の柔らかい感じの良い人でした。
違った出会い方をしていれば、普通に仲の良い友達として付き合うことができたのかな…とさえ思いました。
こうして浮気の疑いが確信に変わったとき、初めて「私は浮気されていた」ということを実感しました。
元夫からの裏切り行為を信じたくなくて、純粋に、馬鹿みたいに、元夫の言葉を信じていた私でした。
しかし虚しくも、大きな裏切りを受けることになってしまいました。
これを機に、私の性格、生活は悪い方向に一変したように感じます。
私が
「もう夫とは会わないことを一筆書いてもらえますか?」
と、持参したペンを差し出すと、Yさんは私が言った通りの文言をキレイな字で書き綴り、署名までしてくれました。
本当は慰謝料を取る気も満々でした。
しかし考え直し、次の条件を出しました。
ジムを退会すること、目の前で元夫の連絡先を全て削除すること、二度と連絡を取らないこと。
これらの条件を全て約束してもらえたので、今回は許すことにしました。
この間、Yさんは私に何度も謝罪し、最初から最後まで誠意を見せてくれたと思います。
元夫と対面
一方、帰宅後に私から全てを聞いた元夫は、狂ったように激怒しました。
特に私が勝手に相手と会ったことに対して怒っていました。
私が目の前にいるのにも関わらず、焦った様子で何度も相手に電話をかけて、繋がらないことに悲観していました。
「何てことしてくれんだよ!クソが!!」
そんな暴言まで吐き、相手の女性がジムを退会したこと、もう二度と会わないと言っていることを知ると、ショックを受けたらしく
「もういい。俺は出て行く!!」
と言って、子どもを置いたまま出て行ってしまいました。
元夫、出ていく
その日の夜、元夫は帰って来ませんでした。
深夜でしたが、元夫の実家に電話をしました。
案の定、実家に帰っており、両親には浮気のことを言わずに
「喧嘩して帰って来た」
と言ったそうです。
離婚を決意
次の朝になっても、娘を置いたままなのに帰って来ない元夫に見切りをつけて、私も離婚を決めました。
その後
現在は離婚が成立しており、結局、元夫には慰謝料と養育費も請求しました。
もちろん、こんな身勝手な人に、娘の親権を譲るつもりもなく、私が親権をもつことで合意に至っています。