この記事を書いた人

現在の年齢:35歳
当時の年齢:30歳
出会い
旦那のタクヤと出会ったのは、大学でした。
同じ学部という繋がりで、4年生の時にゼミのクラスが一緒になったことがきっかけでした。
それまで顔は知ってる程度の関係性でしたが、ゼミで話すうちに私が彼を好きになっていきました。
彼はとても穏やかで優しく、頼れるお兄さんといった雰囲気でした。
私達のゼミでは、よくみんなで夜ごはんに行っていました。
私はサークルにも入っていたのですが、そこはいわゆる飲みサー。
イメージ通りふしだらな雰囲気のサークルで、当時私はそこの飲みにもよく行っていました。
飲み会にて
ある日、ゼミの飲み会でふとタクヤがその話をしてきました。
「飲みサーってさ、やっぱヤリモクの人とかいたりするの?」
彼がそんなことを聞いてくると思わなかったので、私は少しドキッとしました。
「んんー、私はよく知らないけど、まぁそれっぽい人もいるかな」
それとなく返すと、タクヤは
「ふーん。まぁ、元々あんま良いイメージはないけど。」
と言いました。
タクヤは敢えて私に言ったのかはわかりませんでしたが、好きな人に言われた私としては少しグサッとくるものがありました。
私はすかさず、「まぁ、私は家も遠いからいつもすぐ帰っちゃうんだけどね」
と、私の負のイメージを慌てて払拭しました。
これがきっかけで、私は4年目になって、飲みサーをやめました。
メンバーのみんなには、資格の勉強をするからという建前でしたが。
タクヤにサークルをやめたことをそれとなく話すと、どことなく彼は嬉しそうに
「それがいいよ、お金かかるしね」
と、言いました。
一緒に過ごす機会が増えた
サークルをやめてから、タクヤとはゼミ以外でも、休み時間やお昼を一緒に過ごすことが増えました。
今まではサークルの人たちと5、6人くらいで過ごしていたので、休み時間がとても穏やかに感じました。
そのうちに、お互い距離が近くなっていくのを感じました。
ある日のゼミ終わり、私からタクヤをサシ飲みに誘いました。
彼も快諾し、初めての2人きりの飲みでした。
小さな居酒屋でしたが、人の声がとても落ち着く場所でしたので、私達の会話も弾みました。
急に抱きつかれ…
午後11時をまわったころ、タクヤが飲み潰れてしまいました。
タクヤの家は大学から徒歩数分のアパートだったので、私は彼を支えながら帰りました。
タクヤの部屋に着き、かわりに鍵を開け、玄関を閉めると...
タクヤがいきなり私に抱きついてきました。
酔った勢いなのかわかりませんが、嬉しさと驚きのあまり、私はその場から動けませんでした。
そして、彼からの濃厚なキスを受けたあと、そのまま2人でベットインしました。
今思えば完全に勢いでしたが、私はこの時、好きな人から求められている、とても幸せな時間でした。
朝起きて
そのまま朝になり、窓から煌々と朝日が私たちを起こします。
「?!レナちゃん??どうして...はっ!」
タクヤが昨日の事を思い出したようです。
そして布団から飛び出るや否や、土下座をし、
「レナちゃんごめんなさいいいい!!」
と、すごく申し訳なさそうに謝ってきました。
私もキョトンとしていると、彼がおもむろに顔を上げ、
「...ちゃんと順番は守ろうと思ったんだ。けど、昨日のレナちゃんがいつもよりすごく魅力的に見えて...」
と言いました。
...順番は守ろうってことは...??
「こんな形でいうのもあれなんだけど、僕とお付き合いしてくれませんか?」
この時はお互い裸のままでしたが、私は嬉しさのあまりそれを忘れて布団から飛び出し、
「よろしくお願いします」
と、ベッドのうえでお辞儀をし、交際がスタートしました。
優しい彼と交際スタート
友人から恋人に発展したお付き合いでしたので、学校で過ごすときは今までと変わりませんでした。
順番は逆になりましたが、彼は付き合ってからも今まで優しくなりました。
ゼミでも瞬く間に交際していることが広まり、友人たちも祝福してくれました。
私は男友達も多いので・・・
サークルを辞めても、サークルの仲間たちはその後も仲良くしてくれていました。
タクヤは、私のサークルの人たちにあまりイイ印象を持っておらず、男友達が多いことにも少々不満を漏らすこともありました。
サークルを辞めたので、飲み会に行くことはめっきり無くなりましたが、タクヤと予定の合わない日は、サークルの何人かで休み時間を過ごすことも相変わらずでした。
そんなこんなで、タクヤも私も就職先が決まり、大学を卒業するまでに至りました。
タクヤは地元に帰ってUターン就職、私は大学の近くの会社に勤めることになり、一時期遠距離でした。
それでも、月に一回は会うようにしており、当時はお互い会うことが、仕事の原動力になっていました。
彼からのプロポーズ
遠距離生活が始まって半年くらい経った頃、タクヤから突然
「今からそっち行っていい?」
と連絡が来ました。
先週会ったばかりだったので、何かあったのかと不思議に思いました。
タクヤは次の日の朝こちらに到着し、私は駅に迎えに行きました。
待ち合わせ場所に着いて待っていると、タクヤはいつもしょっている鞄一つでやってきました。
「急にどうしたの?」
私が聞くと、タクヤは
「その前にちょっと場所を変えよう」
といって、私を駅ビルの展望台に連れて行きました。
私はこの時若干予感はしていましたが、気づかないふりをして彼についていきました。
そして、タクヤは窓の外を見ながら私に静かに言いました。
「やっぱり、もう遠距離きついし、さみしい。だから、一緒にならない?」
彼からのプロポーズでした。
窓の外ではなく、私の目を見ていってほしかったですが、恥ずかしがり屋な彼らしいものでした。
私はにやけが止らないまま、オッケーの返事をしました。
この時の彼の嬉しそうな顔は今でも忘れられません。
が、私はこの後、この彼の気持ちを裏切ってしまうことになるのです・・・。
職場で仲の良い後輩ができて...
タクヤと結婚して半年が経ちました。
私はタクヤの地元に嫁ぎ、その地で就職することになりました。
前の会社と同じような業種の仕事となり、縁もゆかりもない新天地でもすぐに軌道に乗ることができました。
新年度になり、私の勤めている会社にも新入社員が10名ほど入ってきました。
彼らは各デスクの島に一人ずつ振り分けられたのですが、私は自分の島に来た男の子の指導係になりました。
とても素直で爽やかな、スラッとした「マナト君」という青年でした。
教えたことはしっかりメモし、仕事を覚えるのも早く、私は彼をとても気に入りました。
昼休みに、一緒に近くのご飯屋さんやコンビニに行くこともあり、仕事仲間としてとてもいい関係を築けていました。
タクヤとの喧嘩が増え...
一方この頃、タクヤとちょっとした喧嘩が続いていました。
私の帰りが遅かったり、一緒にいる時間が少なかったりすることが原因でした。
私は商社勤めだったので、それなりに忙しいことを彼はわかっていると思ってました。
プライベートがあまり上手く行っていないこともあり、その愚痴をマナト君にも話していました。
マナト君の慰めが、この頃の私の癒しになっていました。
その事がきっかけで、惚れやすい私はだんだんとマナト君が気になるようになりました。
最初は恋愛的なものかはわかりませんでしたが、タクヤよりマナト君と一緒にいたいと思うようになりました。
喧嘩が増えてから、タクヤより、マナト君の方が私の話を聞いてくれていたからです。
ある日、私とタクヤで大喧嘩をした日がありました。
きっかけは、私がタクヤに、仕事の事をいろいろ干渉されていることに腹が立ったからです。
私はこの日の夜はタクヤとはいたくないと思い、家を飛び出しました。
さて、どこに行こうか...。
最初に思い浮かんだのは、マナト君でした。
私は彼に居場所を求めるのは良くないとわかっていましたが、ダメもとで連絡をいれました。
すると、マナト君は
『とりあえず僕の家に来たらどうですか?』
と返事が来ました。
家に受け入れてくれることにビックリしましたが、私はマナト君の家の近くまで向かうことにしました。
一線を越えてしまい...
泣きながら向かうと、最寄りの公園でマナト君が待っていてくれました。
「なんか、仕事中のレナさんと違って、泣いてる顔もいいですね」
最初に会うなり言ってきたので、私はドキッとしました。
マナト君の部屋はワンルームの決して広い部屋ではありませんでしたが、何処か落ち着く空間でした。
私はマナト君に、今日の喧嘩の事を話しました。
マナト君は私の目を見て、ゆっくり聞いてくれました。
今日は帰れないと話をすると、マナト君は快く泊めてくれました。
まぁ、ここまで来ると、起こることは決まっていたのですが...。
ベッドは一つしかなかったため、マナト君と同じベッドに入ることになりました。
最初は緊張していましたが、マナト君が私の方を向いて、
「ぼく、レナさんが好きです。人妻なのはわかってますが」
と、突然の告白をしてきました。
私は、まぁいっかと思ってしまい、マナト君の腕の中にうずくまりました。
そして、タクヤと付き合う前のあの夜の過ちと同じ展開へと進んでしまいました。
当時、タクヤとの喧嘩からすっかりやっていなかったこともあり、久々に女になれた日でした。
それから内緒で出掛けることも
その日から、お互い仕事仲間以上の関係となり、仕事帰りに出かけることが増えました。
タクヤから怒られることはわかっていました。
だからこそ、家に帰りたくないと、マナト君に甘えて夜の町を一緒に歩いていました。
会社の人にも見つからないように、わざわざ少し足を伸ばして遊びに行くことが多かったです。
そのうち私は、家に帰らないことも増え、気づけばがっつり不倫状態です。
この時のタクヤとの関係は危うい状態だったと思います。
旦那とばったり
マナト君と不倫を始めて3ヶ月ほど。
休みの日、この日はマナト君とのデートがありました。
タクヤには、会社の打ち合わせがあり休日出勤だと言って、家をでてきました。
今日は、マナト君の誕生日で、駅前でショッピングをする予定でした。
駅ビルにたくさんのお店が入っており、私はそこで1日遊べるようなプランを考えました。
私は、マナト君の誕生日ということで、この日はかなりおしゃれをがんばりました。
タクヤも薄々気づいてたんじゃないかな、なんて今になって思います。
マナト君は私の姿を見るなり、
「かわいいね」
と言ってくれました。
私はとても嬉しい気持ちになりながら、その日のデートがスタートしました。
お昼過ぎ、2人で駅ナカのカフェでランチをしていると、マナト君が
「あれ、旦那さん・・・?」
私の背後を見ながら小声で言ってきました。
私はどきっとし、ゆっくり後ろをふりかえると、タクヤが一人でショッピングしている姿が見えました。
私はまさかと思い、冷や汗が出てきました。
タクヤが一人でショッピングなんてめったになかったからです。
私はこの状況を見られたらどうしようどうしようと考えていると・・・
タクヤと目が合ってしまいました。
タクヤは、私が男の子といるのを見ると、スゴい形相でこちらに向かってきました。
終わったと思いました。
「レナ、やっぱ仕事じゃなかったんだね」
タクヤは静かに言いました。
でも、その声の奥にものすごい怒りを感じました。
修羅場
「で、あんたは誰?」
タクヤはマナト君をにらみつけました。
「か、会社の後輩の市ノ瀬と申します・・・レナさんとは、その・・・」
マナト君が弁解しようと口を開きますが、タクヤはそれを遮り、
「俺に内緒で、こいつと浮気してたって事だよな?どうなんだ、レナ!」
タクヤの声がお店中に響き渡り、内容も内容なので最悪な状況でした。
私は、マナト君とこうしている経緯を、その場で全て話しました。
「タクヤとの喧嘩が増えて、私すこし自暴自棄になってて、それで仲の良かった市ノ瀬君に相談してて・・・」
全て話し終わると、タクヤはため息をつきました。
何か言ってくるかと思った瞬間、タクヤはいきなりマナト君の肩をたたき押し倒して、
「人の嫁だってわかっててこんなコトしたんだよな?!」
私は暴走するタクヤを慌てて止めました。
流石に店員さんも出てきて、タクヤとマナト君を引き離すことができました。
しかし、タクヤは引きはがされてもなお、マナト君を怒鳴ります。
「俺の嫁を横取りすんじゃねえ!!レナの前から消えろ!!」
もうタクヤは取り乱していました。
この時、私はなんてことをしてしまったんだと、一気に後悔と罪悪感が押し寄せてきました。
タクヤとの出会いから結婚までを振り返ると、私が愛するべきはタクヤだと・・・。
それを私は、束の間の幸せのために別の男の子と関係を持ってしまった。
私は自分の行いに呆れ、その場で何もできなくなってしまいました。
そして旦那は・・・
数日後、マナト君は辞職しました。
上司には本当の理由を言ってないそうですが、おそらく私から離れるためでしょう。
マナト君は退社日、私に、
「僕は最低な男ですが、レナさんが好きだったことは本当です。ありがとうございました、さようなら」
と書かれている置き手紙のみが、私のデスクに残されてました。
私は出社早々、涙が出そうになったのを覚えています。
一方、タクヤは離婚まではしたくないと言ってくれて、なんとか離婚はせずに済ませてくれました。
あんなことがあってから、タクヤとの喧嘩も、「話し合い」になりました。
ですが、しばらくは私にGPSアプリをつけさせてほしいとだけ頼まれました。
ですが、それも半年くらいで解除してくれました。
その後
こんな私なのに、離婚をしなかったタクヤは、本当に優しい旦那なんだなと改めて実感しました。
この後悔を教訓とし、私はタクヤを一途に愛すると、この時誓いました。
そして、もうすぐ子どもが生まれます。
素敵なパパママと思ってもらえるような夫婦になれるように頑張りたいです。